発達障害のある大人の方が、困りごとを相談する前に

仕事、人間関係、日常の負担を、場面と言葉から整理するご案内です。

このご案内の更新日:

口頭の指示を覚えきれない、予定が重なると動けない、人とのやり取りの後に疲れきってしまう。困っていることを相談するときは、診断名だけでなく、「どの場面で何が負担か」「自分はどうしたいか」から伝えられます。

この案内のメモや問い合わせ例は、発達障害の診断を受けた方にも、まだ診断を受けておらず相談先を探している方にも使えます。ここに挙げる困りごとだけで、ASD・ADHDなどの診断を判断することはできません。診断名だけで、仕事や暮らしの選択を決める必要もありません。

困っている場面から考える

以下は説明のための架空の例です。実際の利用者の事例ではなく、発達障害のある方全員に当てはまるものでもありません。近い場面があれば、ご自身の状況に置き換えてください。

仕事で、複数の指示が重なると分からなくなる

困る場面:会議で三つの作業を続けて頼まれると、順番が分からなくなる。

確認できること:指示を文字で残せるか、一つずつ優先順位を確認できるかを考えます。仕事を辞めるかどうかを最初に決める必要はありません。

使える一言:「三つを同時に覚えると抜けてしまいます。先にするものを一つ確認して、メモに残してもよいですか」。職場だけで調整が難しい場合は、地域障害者職業センターなどに、仕事の進め方について相談できるか確認してください。

人間関係で、断り方や距離の取り方に迷う

困る場面:誘いを断れず、帰宅してから疲れきり、休む時間がなくなる。

確認できること:その場で返事をする必要があるか、会う時間や回数を減らせるか、断りやすい連絡方法があるかを考えます。

使える一言:「今日は予定を確認してから返事をしたいです」。関係を続けたい気持ちと負担が重なり、自分だけでは整理しにくい場合は、地域の相談窓口やカウンセリングで、今回話したいことに対応できるか確認できます。

日常生活で、予定や片づけの負担が重なる

困る場面:帰宅後に家事が重なり、どこから始めるか決められない。

確認できること:今日必要なことを一つに絞れるか、家事の手順を減らせるか、家族と役割を分けられるかを考えます。本人が続けたいことと、今減らしたい負担を入口にできます。

使える一言:「全部を同じ日にするのは難しいです。今日は食事と翌日の支度を優先したいです」。生活の支援や使える制度も含めて相談したい場合は、発達障害者支援センターや自治体の相談窓口に確認してください。

音や光などの負担があり、作業や外出を続けにくい

困る場面:周囲の会話や明るさが負担で、作業を続けると消耗する。

確認できること:席や時間帯を変えられるか、休める場所があるか、周囲の音を減らす方法が安全に使えるかを確認します。無理に慣れることだけを目標にせず、負担が少ない条件を探します。

使える一言:「この場所では周りの音が重なって作業を続けにくいです。静かな場所や別の時間で進める方法を相談できますか」。職場なら就労支援の窓口、日常生活なら地域の相談窓口に、環境について相談できるか確認してください。体の不調がある場合は、原因を発達障害だけと決めず医療機関へ相談してください。

これらは調整を考えるための例です。職場・家庭・相談先で実行できるかは、それぞれの状況に応じて確認してください。一度試して難しかった場合は、「何を試して、どの部分が難しかったか」を次の相談で伝えられます。

怒鳴られる、侮辱される、脅されるなどの行為まで、ご自身の工夫だけで解決しようとする必要はありません。安全や職場の問題は、下の公的窓口などにも相談してください。

相談前のメモは、書けるところだけ

長い説明や、幼少期からの経歴を先に完成させなくてもかまいません。まず、最近の一場面について、短い言葉で整理できます。診断のための検査票ではありません。

困る場面:____
そのときの負担:____
試したこと・助かったこと:____
今回の希望:聞いてほしい/一緒に整理したい/相談先を知りたい

例:「口頭で作業を頼まれる/途中で順番が分からなくなる/一つずつメモを確認できると進めやすい/職場へどう伝えるか整理したい」。空欄があっても大丈夫です。無理に原因を決めず、相手の実名や勤務先名など、相談に必要のない個人情報は省いてください。

相談の最初の一言と、手元で使えるメモ

何を相談したいかで、窓口を確認する

一つの窓口ですべてを解決する必要はありません。利用できる地域・年齢・支援内容、診断や手帳の要否は、各窓口で確認してください。

日常や人との関わり、地域で使える支援を知りたい

発達障害者支援センターは、ご本人やご家族などからの相談に応じ、地域の医療・福祉・教育・労働などの機関と連携する窓口です。まず、お住まいの地域を担当するセンターの利用案内を確認できます。診断前の場合も「診断は受けていませんが、この困りごとを相談できますか」と問い合わせてください。

地域の発達障害者支援センターを探す(国立障害者リハビリテーションセンター)

仕事探し、働き続ける方法、職場での支援を相談したい

ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどに役割の異なる支援があります。求人紹介を希望するのか、仕事の進め方や就職後の負担を相談したいのかを伝えて、対象となる窓口を確認できます。

発達障害者の就労支援の案内(厚生労働省)

賃金、解雇、職場のいじめ・嫌がらせなどについては、仕事の悩みに関する公的相談窓口も確認してください。

診断・検査、薬、眠りや食事などの不調を相談したい

医療機関へ、受けたい診察や検査に対応しているか確認してください。医療機関によって対応する内容や年齢、予約条件は異なります。すでに通院している場合は主治医に相談してください。医療機関の選び方に迷うときは、地域の公的な相談窓口にも問い合わせられます。

カウンセリングと心療内科・精神科の役割を確認する

話しやすい進め方を、申し込み前に問い合わせる

希望する進め方がある場合は、次のような言葉で確認できます。これは問い合わせの例であり、各窓口や当相談室での対応を確約するものではありません。

  • 「一度に質問が続くと整理しにくいです。一つずつ確認する進め方はできますか」
  • 「考えてから答えたいので、返事まで少し待ってもらえますか」
  • 「メモを見ながら話したいです。先に確認しておくことはありますか」
  • 「今回の困りごとを相談できる方がいるか、支払い前に確認したいです」

希望する対応が難しいと分かったら、「別の進め方はありますか」「ほかに相談できる窓口はありますか」と確認する方法もあります。合わせられない理由をご自身の努力不足と決めつけず、負担の少ない相談方法を探してください。

声で話す方法が負担な場合は、相談したい窓口に、文字で問い合わせや相談ができるか確認してください。文字での相談でも、返信までの時間、相談できる回数、画面や通知の見られ方は異なります。その場で返事が来ると決めつけず、利用条件を確認できます。

当相談室を検討するとき

すこやか心理相談室では、仕事、人間関係、日々の不安などについて、1回55分の電話でご本人のお話を伺います。発達障害の診断・検査や治療、勤務先との交渉を行うサービスではありません。

特定の相談内容への対応や、ご希望の進め方については、申し込む前にお問い合わせから確認してください。担当者の専門性や対応経験を、診断名や「専門カウンセラー」という区分だけから判断しないようにしてください。

一般カウンセラー4,400円(税込)、専門カウンセラー5,500円(税込)。相談室が担当者を確認した後、SMSで予約が確定します。

当相談室は医療機関ではなく、緊急対応も行いません。身の安全を保てない場合は、予約や問い合わせの返答を待たず、緊急の窓口や医療機関へ連絡してください。

参考にした公的情報

相談先の役割は、以下の公開情報を参照しています。利用条件や受付状況は各窓口の最新の案内をご確認ください。情報確認日:2026年10月25日。

掲載元:すこやか心理相談室。

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